【事業レポート】3/3 やさしいこころのケア講座 第2期(5)

日時:3月3日(土)

場所:とちぎユースワークカレッジ 2F教室

講師:楡木満生 (詳しくは、こちら)

参加者数:基礎編 10名  実践編 8名



【基礎編】事例に学ぶ(実習)13:00~15:00
第5回目となる今回は、「事例に学ぶ(実習)」がテーマです。
これまで学んできた傾聴などの考え方をもとに、事例を通して実践でどう用いるのか。
講師のアドバイスのもと、みんなで考えていきます。

事例1 【小学2年生:A君のケース】
幼 稚園に入る前からよその子供と話を一切しなかった。父親は単身赴任。日頃家には、母親(40歳)、父方の祖母(64歳)、本人(7歳)、妹(4歳)で暮ら している。幼稚園入園直後は、お話どころかお水すら飲まない状況だった。年長の頃から、少しずつ先生と小声で話をしたり、身振り手振りで話をはじめた。小 学校入学後担任とは小声で話をしていたが、指されると泣いてしまうという状況が続いた。母親からの相談で総合教育センターに来所することになる。

以下の順番で、事例を検討しました。
 ①ロールプレイ(受講者が事例の登場人物の役割を演じ、模擬カウンセリング)
   ↓
 ②ロールプレイを見ていた受講者の感想、意見、問題点
   ↓
 ③ロールプレイを行った受講者の感想、問題点

 ロールプレイを通して問題点を整理しながら、みんなで考えていくことで、一つの方向性が見えてきました。
 そして見えてきたことに対して、アクションを起こしていくのです。

 その他にも受講者の方に挙げていただいた事例などをみんなで考え、見立てから対処への流れを実際に体験することができました。こんな時どう対処する?どう見立てる?といった際の進め方、考えるコツを学ぶことができたかと思います。

「傾聴」と「交流分析」。
この2つをテーマにし、基礎編を実施してきました。
話を聴く事は、まず相手を受け入れるというコミュニケーションの基本です。
そして、自分を知ることは、人と関わる上で基準となります。
受講者の方から、「この講座を受けてから、人から色んな話を聞けるようになった。聞き上手になった。」ということを言っていただけました。

これらのベースがなければ、療法だけをいくら学んでもあまり意味がない。そう考えています。
初めて学ぶ方はもちろんのこと、すでに次のステップに進まれている方も、初心を忘れないようこのベースに立ち戻ることで、人と関わる大切なことを思い出させてくれると思います。

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【実践編】事例に学ぶ(実習)15:30~17:30
最後となる今回は、基礎編と同様「事例に学ぶ(実習)」です。いくつかの事例に対して、これまで学んできた「認知行動療法」を使って考えていきます。

まずは以下の事例。
講師と参加者とのやりとりから検討していきます。

事例 【32歳女性:S子さんのケース】
中規模の同族会社勤務で、社長秘書をしている。夫との2人暮らしで、子供はまだない。
社長は従兄弟。夫は同じ会社の役員。
社長はワンマン。常に「今日中にこの書類をつくっておくように」といった指示が出され、ミスができない。夫はいつも残業で、愚痴を言う事も出来ない。
結果、ストレスで次第に追いつめられ、通勤電車にのると、動悸・めまい・頭痛がし、人ごみでは気分が悪くなるようになった。休職し、在宅するようになったが、現在では家にいるとわけもなく涙が出てきて止まらなくなっている。

○クライエントの症状は?
〈見立て〉パニック障害、軽うつ

○クライエントの性格は?
まじめ、がんばる、断れない、完璧主義
→うつの典型パターン

夫に相談できない、ストレスを発散できない
→ストレス性疾患の典型パターン

○どう対応していきますか?
なにがつらいか、相談にのって、ゆっくり休ませる。
   
ここからが、認知行動療法の出番です。
これまでの症状を鑑みて、どの手法を使うのかを考えます。
  
今回は、「系統的脱感作療法(行動療法)」で考えます。
系統的脱感作療法とは、ウォルピが行動療法・・・・
どんな順番で進めていくか受講者の意見を元に組み立てます。
1・家の中で家事をこなす
2・散歩をする
3・買い物に出かける
4・友人とランチをとり、おしゃべりをする
5・会社への通勤時間外に電車にのってみる
6・会社に顔を出す
7・会社に1時間いる
8・会社に半日いる

といったように、本人にとって無理のないように配慮しながら、一歩一歩段階を踏んで、本人の姿へ近づけていきます。

これが、認知行動療法を用いた一つの支援の形となります。

他にも、受講者の方から事例をあげていただきました。
この事例は、一流大学を卒業した後、様々な要因のもと就職できない若者の事例でした。

そ れぞれが抱えている悩みや葛藤、親と子の関係など、事例を通して、それぞれの考えや思いを発散し、共有することができました。この体験から、色んな見方や 考えの存在を感じることができたのではないでしょうか。ひとりで考えすぎるとどうしても思考は独りよがりになってしまいがちで、定期的にこのような場で、 様々な角度からの視点を持つ事で、より的確なカウンセリングができるのだと思います。

基礎編と実践編、どちらにも共通することですが、具体的な事例があることで、受講者の方々が持つ経験や考えが十分に発揮され、とても熱のこもった講座となりました。

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≪受講者の声≫
「傾聴の場面での引き出しが増えた。」(基礎編)
「みなさんとひとつの事例について意見を出し合うことで、様々な視点からとらえることができたり、自分と共通の考え方があると知る事ができたりして、自分の安定にもつながると思った。」(基礎編)
「いろいろな知らない用語などにふれることができました。今これからをよく見つめてゆっくり一歩ずつ進んでいきたいと思います。」(実践編)
「ケースに沿った認知行動療法の使い方を学ぶことができてより実践的に使えそうだと思った。」(実践編)
「利用者の相談支援の場面で、活用できればと思っています。」(実践編)


い つの時代も人間関係での悩みはつきないものでしょう。特にネットやメール、携帯電話の普及により、さらに大きな悩みとなっています。現代における様々な人 間関係の悩みをなんとかしたいと考えている人がこういった場で学んでいらっしゃいます。コミュニケーションはひとりでは完結できません。他者がいてはじめ て成り立ちます。
参加してくださった方々は、本当に多様な職場や地域で人と関わり、コミュニケーションを模索されています。

この講座は、自分自身や、職場、ご近所、親戚など、コミュニケーション不足の問題解決への力を身につけるという目的で実施してきました。
その目的が少しでも達成できたのではないかと思います。
次年度からは、実施団体を「とちぎユースワークカレッジ」に受け継いで、引き続き実施していきます。
詳細につきましては、以下のファイルをご覧ください。

受講してくださった多くのみなさま、どうもありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。