発信!社会事業家インタビュー記事/星降る学校くまの木 事務局長 加納麻紀子氏

TEAMユースインターン5期生のきくりんの取材記事ができあがりました。

 

リサーチから取材計画、アポ取り、取材、原稿づくり、追取材、確認、発信とすべてを自身でやりました。初めてということもあって、学ぶことが多かったと語る”きくりん”。

 

丁寧に取材をしたその記事をご覧くださいませ。

 

 

自然と生きる仕事

特定非営利活動法人塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合 事務局長 加納麻紀子

 

”星ふる学校「くまの木」” 
宇都宮から北に車で1時間、日本の名水百選に選ばれた尚仁沢の恵みを受ける塩谷町に星ふる学校「くまの木」はある。

 
 約2900名の卒業生を送り出してきた旧熊ノ木小学校は1999年、124年の歴史に幕を閉じた。その後、卒業生でもある地元住民の思いに応え、2002年に宿泊型体験学習施設として生まれかわった。「暮らしやすい地域社会の実現」を目指す塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合が運営している。自然観察体験や農林業体験、郷土料理づくり体験などを実施するほか、町内の子供を対象にした「自然クラブ」、ボランティアによる里山整備活動を行う「里山応援団」、地元の農家と連携した活動など地域住民との関わりを柱に置いた都市農村交流の事業を展開している。

 

 

 

 

 施設の利用者は県内の親子連れから県外の修学旅行生まで幅広く、宿泊者と体験プログラム参加者を合わせると年間のべ8000人以上が利用している。なかでも校庭に置かれた天体ドームからの天体観測は昨年約1700人が参加した人気の体験の一つだ。くまの木周辺は、周囲の明かりが少なく、空気が澄んでいる絶好の天体観測スポットである。平成12年には全国で一番の星が見える場所に選ばれた。星ふる学校の由来にもなった。


 この「星ふる学校くまの木」の事業統括をしているのが、事務局長の加納麻紀子氏である。毎日訪れる利用者の方の対応や施設の運営、事務処理はもちろん、体験プログラムの企画調整や各種広報などを担っている。現場の責任者として、くまの木と外部をつなぎ、職員が働きやすい環境を作ることが彼女の仕事である。

 

 

 

そんな彼女の想いがどこからきているのか、その原点に迫る。

 

 

農村とは無縁の幼少期
 2年前に事務局長に就任され、現在はくまの木の運営の中核を担っている加納氏であるが、幼少期は神奈川県藤沢市の住宅街で育った。中学、高校は部活に打ち込み、大学時代は、アルバイトなどに明け暮れる、そんな普通の学生時代であった。当時は「癒し」や「安らぎ」のイメージで語られる農村に関心が持てなかったし、そんな農村のイメージが嫌だったという。卒業後は農林水産省の外郭団体である、農村環境整備センターの職員として、事務の仕事を行っていた。
 しかし、ある日突然、調査研究の部署へと異動となり、そこで初めて農村とのふれあいを経験することになった。

 

 

全国の農村を見て回る仕事
 調査研究の仕事を始めた当時、現在のような農村に対しての熱意はまだなかった。しかし、与えられた仕事に取り組み、全国の農村を見て回るうちに、彼女の農村に対する意識は大きく変わった。

“農村は、面白くて刺激的な場所だ。

 目の前にあるものがどこから来たかわからないような、自分が今まで長年住んでいた都会の生活とは異なり、水も食料もエネルギーも、その気になれば自分自身で調達することができ、自分の生活を自分自身で創造できる。変化に富んだ四季折々の景色や、そこに生息する様々な生き物たち。そんな農村の生活の魅力に気づき、自分もいつかそんな生活をしてみたいと思うようになった。

 

 

事務局長就任とともに東京から家族で移住。くまの木での生活のはじまり。
 そんな彼女は2年前にくまの木の事務局長の公募に応募して事務局長に就任した。
栃木が知り合いの多かった土地であることと、なによりこれまでの仕事で育まれた農村の現場の仕事に携わりたいという気持ちから事務局長公募への応募を決意した。
 その後、事務局長の就任を受けて家族とともに東京から塩谷町へと移住をしたという彼女は、“栃木にも知り合いはいたし、食べ物と水とエネルギーの在り処が目に見える場所で、人の縁があれば何とかなると思った。東京にいても、ここにいてもどう転ぶかわからないし、いま、私の居場所がここだという確信があるわけではない。でも、どう転んでも、ここなら何とかやっていけるんじゃないかという気がする。”と笑顔で話す。

“何とかなると思えるのは、スタッフや家族、友達など、周りのひとの縁がそう思わせてくれます”。

 そんな彼女に農村の魅力はと聞くと、“ライフラインが目に見えることの安心感、そして職住近接”だという。“農村の生活では人間としての根本となる自然や食料が本当に生活と一体としてある、人間社会のあれこれが小さいことに思えます”。

彼女の前向きな気持ちを後押しするのは彼女を支える周りの人たちと、食べ物とエネルギーが身近にある安心感のようだ。彼女の笑顔を見ていると、全国の農村を見ていくうちに感じた自然の魅力あふれるくまの木での生活に満足しているように思えた。

 

 

たくさんの人の“大切にしたい”想いを感じる、くまの木の魅力。
 調査員として様々な農村などを見てきた彼女に、職員として携わっていくうえでくまの木の魅力はとたずねると、“熊ノ木小学校として、地元住民が大切にしてきた歴史と、遠藤理事長をはじめ理事や会員が、いまの星ふる学校「くまの木」を心から大切にしていこうとしている想い。そういったものは、いくらお金をかけても作ることはできません”。
 
 そんなたくさんの人の思いに支えられるくまの木であるが、社会におけるくまの木の役割は“自然と調和した暮らし、農村・食べ物の大切さを表現していくこと”。都市と農村をつなぎ、農村の魅力を伝えることがくまの木の使命である。くまの木に携わるたくさんの人の思いを、農村の魅力として発信していくのがくまの木なのだ。

 これからもたくさんの農村の魅力を社会に発信していく加納氏にくまの木のこれからについて聞くと“天体や自然に加え、食べ物やエネルギーが大きなテーマになるかなと思う。今後はくまの木だからできることを形にしていきたい。”と語ってくれた。

 

 

 

 

ひろがりとやりがい―働くことの原動力。
 そんな彼女にとって働く原動力は、“とにかく仕事が好き。仕事の大義名分で、普段会えない人に会ったり、聞けない情報を聞けたり、いろんなことが実現できることが楽しい。”
 そして、“自分が大事にしている、農村や食料のことを伝えられる仕事ができることがうれしい。”という。
 彼女にとって働くということは、自分のやりたいことができること。そして、自分自身を創っていくことなのかもしれない。
 そんな彼女は“異質なものが違いを認め合い、調和がとれる社会。なにはともあれ、みんなそれぞれに楽しく、自然の恵みや人のつながりに感謝しながら生きられる社会。それが理想です”と優しくに語ってくれた。

 

 

“いろんな関わり合いの中で生きる事を楽しんで”
 最後に、これからの若者に向けて“いろんな関わり合いの中で生きることを、単純に面白がってやっていけるといいと思います”と語ってくれた。
 そうした「楽しく、面白がって生きる」こと、そして近代化によって失われてしまった楽しく、面白がって生きられる社会の実現が彼女の、そしてくまの木の役割なのだと感じた。


(文責:TEAMユースインターンシップ5期生
菊地雄太 / 白鴎大学経営学部3年)

 

星ふる学校「くまの木」
 (特定非営利活動法人 塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合)
〒329-2213 栃木県塩谷郡塩谷町大字熊ノ木802番地
TEL: 0287-45-0061
FAX: 0287-45-1666
URL :http://kumanoki.or.jp/index.htm 
E-mail:info@kumanoki.or.jp  
TW : @kumanoki1 FB : 星ふる学校「くまの木」

 

 

 

取材情報
日時 : 2012年6月23日(土)10:00~11:30
場所 : 星降る学校「くまの木」内
インタビュアー :TEAMユースインターンシップ5期生 菊地雄太/白鴎大学経営学部3年

取材情報
日時 : 2012年6月23日(土)10:00~11:30
場所 : 星降る学校「くまの木」内
インタビュアー:

TEAMユースインターンシップ5期生 

   菊地雄太 / 白鴎大学経営学部3年