[事業レポート]9/19 NPO理事のためのマネジメント向上講座 vol.5 委託業務の向き合い方-行政の委託事業を受けるにあたって-

9月19日、とちぎボランティアNPOセンターで、NPO法人「育て上げ」ネット理事長工藤啓氏をお迎えして、「NPO理事のためのマネジメント向上講座」の第5弾「委託業務の向き合い方」をテーマに、栃木県内の様々なNPO理事(設立を考えている任意団体含む)16名の参加者にお越し頂き、開催しました。

 

 

NPO法人「育て上げ」ネットは、「すべての若者が将来に希望を持てる社会」の創造を目指し困難や課題を抱える若者が"持続的な社会参加と経済的自立"を獲得するためのさまざまな機会提供とご支援を差し上げています。昼夜逆転の生活を改善したい。コミュニケーションや人づきあいの苦手意識を改善したい。それらの課題を解決します。また、仕事・アルバイトが長続きするようになりたい。共同研修を通じて仲間を作りたい。自立のために動き出すきっかけが欲しい。若者が自らの将来に希望が持てるよう、他の支援機関や団体、行政、企業とのパートナーシップにより「包括的な支援」を実践しています。http://www.sodateage.net/ 。

 

 

 

 

ビジョン(目指すべき社会)とミッション(果たすべき使命)とバリュー(提供すべき価値)に加え、アイデンティティ(立ち位置)として“私たちは支援者である”ことを明確に掲げている。アイデンティティは、更に、①若者の自立を「社会投資」と考え、将来の「社会リターン」となることに強い信念と揺るがない志を持って活動する支援者である、②若者の課題解決を妨げる障壁を乗り越え、未知なる課題に対して解決手段を創造する支援者である、③自己犠牲・他者依存に依らない自立的な組織を築くための「社会性」と「事業性」の両立を追求するべく、常に創意工夫を怠らない支援者の集合体であり続ける、と打ち出されている。その軸を持って、若者に関わる社会的課題を川下(対処型)事業から、川上(予防型)事業を主要事業として実施している。

 

 

特徴的なことは、国の若者サポートステーション事業などの委託事業を受けているが行政から委託事業は6割で程度、それ以外が寄付や事業収入などの自主財源で運営している。2004年の設立から、今年で9期目となる。

 

 

研修の内容としては、
まず、「育て上げ」ネットのミッションミステイトメントを確認したのち、それがどのように事業に繋がっているのかの事例を教えて頂きた。また事業の内容だけでなく、そのビジネスモデル、仕組みも教えて頂いた。若者支援のようにサービスを必要とする若者の本人からの対価収入は難しいので、そのサービスを提供し続けられるように、ステークホルダーを分析し、新たに支えられる仕組みを創り事業を運営している。またその事業がなくなってしまわないように大口に支援を1つに依らない仕組みづくりが重要である。

 

 

 その後、NPOと株式会社の違いや、なぜNPOで取り組むのかについてもお話頂いた。政策や法律立案に関与することの社会的インパクトを持ち得ること、新しい「働き方」を社会に創りたいこと、資本主義/市場主義だけの限界を感じ、「市民調達」への期待(寄附)が大きいこと。行政との連携はNPOに限らず、企業と行政も連携や委託事業はしており、行政との連携目的にNPOをつくるのは違うこと。またNPOにしたことで失ったこともあると話す。株式を発行できないため、資金調達時に投資を受けられない、ストックオプションも発行できない、キャピタルゲインもないこと、つまり、「投資を受ける」というカードを放棄したNPOで働くということは、税金がかからない「寄付」を集めないと行けない。特に「寄付」を集めないなら、株式会社でやった方が、解決スピードは速いとの話は印象深かった。

 

 

 行政との委託事業については、そもそも委託事業は、次にどう生かしていくかを考えることが重要であること、財政的には結果的に赤字になるリスクを抱えてることの認識を確認した。
踏まえて、なぜ行政と関わるのかという目的のところで、まず、法律を創りたいのか、制度を創りたいのか、政策を創りたいのか、をはっきりすることが大事。ここがわかっていないと行政も何をしていいかわからない。続いて行政との関わりの中で、助成金、補助金、委託金を分けて考える必要がある、など具体的に考えらければならない視点を提起頂いた。

 

 

 そして、重要なのは、作られた委託事業を受けるではなく、その政策を創るところに関わることである。この点についても、NPOが行政の政策づくりに関わるための考え方や手法などを教えて頂いた。
それらの話を受け、実際の行政に委託事業の募集要項と仕様書、委託契約書を読み込み、ポイントを確認した。
参加者のアンケートでは、今回も“全員が満足”と回答され、また全員が次回も参加する回答でした。

 

 

今回は、理事のためのマネジメント講座全5回は終了致しますが、次回10月16日からは、“NPO職員”のためのマネジメント講座となります。現場で必要となる「NPOのマーケティング」について実務に使えるよう学んでいきます。 

改めまして、ご参加頂きました皆様、お忙しい中長丁場の講座でご講義頂きましたら工藤様、ありがとうございました。