11/17土曜日に、とちぎ青少年センター多目的ホールにて、「社会を良くするアイデアフォーラム」を実施しました。
企業、行政、NPO、学生など、20代~30代を中心に、幅広い分野で活動する方々が参加してくださいました(参加者:24名。)。
その第1部(10:00~12:30)の活動レポートです。
NPO法人グリーンズの代表理事 鈴木菜央さんをお招きし、社会を良くする一つの手段として、 じぶんごとからはじまるグットアイデアが地域や社会へもたらす効果や可能性を探り、アイデアが“つなぐ”コミュニティや未来の姿を考えていきました。
NPO法人グリーンズとは?
『あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア』をテーマにしたwebマガジン「greenz.jp」を発行し、 クリエイティブで持続可能でワクワクする社会をつくるムーブメントを起こすことをゴールに、様々な取り組みを行っています。
「変える→つくる」
県北にあるアジア学院で1年間ボランティアをしていた事もあり、栃木県ともゆかりのある鈴木さん。そんな鈴木さんに「ソーシャルデザインとあなたの未来」と題して、お話しいただきました。

グリーンズの考えるソーシャルデザインとは、
「社会的な課題の解決と同時に新たな価値を創出する画期的な仕組みをつくること」。
いわゆる社会課題の解決というと、”マイナスを0へ”になりがちです。それに加え、”0をプラスへ”という考えを持つことで、新たな価値(友情・信頼・共感など)を創出でき、楽しく社会課題を解決していこうというものです。
そのためにも、これまでとは異なる「画期的な仕組み」が必要になるのです。
そして印象的だったのは、「変える→つくる」。という言葉。
ここに全てが集約されていました。
・変える=現状を変えよう。
↓
・つくる=新しい価値・社会・当たり前をつくろう。

世界と日本のソーシャルデザイン
では、いったい画期的な仕組みにはどんなアイデアがあるのでしょうか。
あげてくださったたくさんの例から、いくつかを紹介します。
●スピードを「守った」人に宝くじがあたる「スピード・カメラ・ロッタリー」
スウェーデンのフォルクスワーゲン支社のキャンペーン。
規制で人の行動を縛るのではなく、ファンセオリー(楽しいという事が人間の行動原理)という仮説をもとに、制限速度以下で走行すると宝くじがあたり、以上だと罰則となる仕組み。警察が実証実験をしたところ、22%平均速度が下がったという。人の行動は、楽しいと変えられるという事例。
●おばあちゃんパワーで世代を越える「BABAラボ」
日本の30代のデザイナーがスタートさせたアイデア。
埋もれてしまっているおばあちゃんのスキル(手芸など)を活かし、一世代を越えた孫とのペアルック商品やおばあちゃんが元気になる孫育てグッズを製作し、おばあちゃんの生きがいやしごとづくりを行っている事例。
とちぎの新しい物語を紡ぐ
そして鈴木さんから、これからアクションを起こしていく人へのメッセージとしてたくさんの言葉をいただきました。
どれもこれも刺激的なメッセージですが、いくつか。
「世界はあなたのものです」
「じぶんごと以外はやめよう」
「問題を生んでいるシステムのスイッチを見つけよう」
そして、最後の「とちぎの新しい風景をつくろう」というメッセージ。
グリーンズを通して、新しい当たり前をつくるサポートをされている鈴木さんの言葉は、穏やかですが力強く、次へ向けて行動を起こしている/起こそうとしている参加者を、そっと後押ししてくれました。

参加者同士のシェアタイム
インプットの後は、アウトプット。
同じ参加者の方々と感想やそれぞれの活動をシェアすることで、多様な視点を吸収し、学びを自分に落とし込む時間です。
どのグループも話に花が咲いたようで、時間終了後の休憩時間まで話ししているグループもあったようです。

トークセッション&質疑応答
トークセッションでは、当会の岩井がコーディネーターに入り、参加者からの質疑をもとに、講演を掘り下げていきました。
Q:「人の行動をデザインする」は大事ですが、具体的な第1歩は何をすれば良いでしょうか?といった質問には、
「今の時代、動き出している人を見ていると『意味がある』・『自分で決める』・『成長する』・『楽しい』の4つが事が傾向としてあり、それらは人との関わりの中で感じることが多い。それらを踏まえつつ、自分がやってる活動を、みんながそそられるものにすることが大切。」
Q:動き出している人に共通する魅力は?
「ヒーローっぽくない人。完璧な人ではなくて、出来ないことがあって、人に頼っている。ヒーローになると、”自分がしなければならない”と気負ってしまい、悲壮感が出てしまう。自分ができないことを、みんなが参加できる場、活躍できる場の仕掛けとしている。」
また出来ないことがあっても、じぶんごと化してのストーリーが大事とおっしゃっていました。
また、多くの参加者が興味をもっていたのが green drinks という活動です。
green drinksは、ニューヨークやハワイ、中国からボツワナまで世界の750都市以上で開催されているグリーンやエコをテーマにしたパーティのことで、日本でも80か所近くの街で開催されているとのこと。
始めるのに、難しい手続きはいらないようですので、栃木県内各地で開催して欲しいとのことでした。
私達も、ぜひ開催したいと思います。
他にも、「じぶんごとの見つけ方」など、様々な視点からご回答いただき、とっても有意義な時間となりました。
鈴木さんの丁寧な言葉を紡ぎ方や話しぶりから人柄が伝わってきます。また、モノゴトをわかりやすい例えで話をしてくださるので、スッと落とし込むことができます。こういった雰囲気や伝える力も、鈴木さんの魅力の一部だと感じました。

本フォーラムを通して、鈴木さんが紹介してくださったように、身近な自分発の想いを形(アイデア)にし、社会に届けることで、地域に社会を良くするアイデアが溢れ、アクションを起こす人が増えていけば、とちぎはきっとワクワクする面白い地域になると確信しました。
ご参加いただいた皆様、グリーンズの鈴木菜央さん、どうもありがとうございました。
共にとちぎの新しい物語を紡いでいきましょう。
【参加者の声(一部抜粋)】-----------------------------------------
・アイデア。自分一人だけの力なんてたかがしれていますが、こうして色々な方々のアイデアをきくと自分の頭の中が広がる感じがするので、とてもよい機会でした。他の方の話もぜひ聞かせてください。
・次の一歩や、それぞれの場で活動している人に強いメッセージになったと思います。
・“「-→0」へ「0→-」へ”の意識の仕方、大変勉強になりました。
・「ソソる」「企てる」「かくれている本能を生かす」キーワードをたくさん得られました。
・とにかく、ワクワクさせていただきました!頭のかたい人たちと話をして合意をして新しいものをつくったり、変えていったりしなきゃいけない立場なので、こういう時間はとってもありがたい時間です。
・普段自分が考えていること、やっていることに後押ししてもらえた気がします!!
・気づきが多かったです。「じぶんごと」「世界一になる」今すぐにでも行動ができるのでさっそく今から行動していきます。
・greenzだけでなく、色々な事例を知れて「創る」というイメージがわいた。
・「楽しさが人を動かす」という言葉が印象的でした。