発信!社会事業家インタビュー 株式会社守田家/栃木県映画センター 代表取締役 高橋祐也 氏

株式会社守田家/栃木県映画センター 代表取締役 高橋祐也氏  [2012年12月27日(Thu)]映画を取り巻く環境は年々厳しくなっており、映画館の閉館が相次いでいる。そんな中、「映画の力」を信じ、活動をしているのが、株式会社守田家4代目社長・高橋祐也さんだ。映画創世記から、いや、それより前から歌舞伎というエンタテインメントを通して、人々に「伝える」活動をしてきた株式会社守田家。はにかむような笑顔の奥にある、高橋さんの熱い想いに迫る。

“映画の歴史より古い株式会社守田家”  日光市今市にある株式会社守田家が、株式会社として登録したのは今から約80年前の昭和8年。しかし、その歴史はもっと古く、もともとは歌舞伎小屋をやっていた。「映画」の誕生に合わせ、歌舞伎小屋は「映画館」へと形を変えて時代を駆け抜けてきた。 現在、大衆向けの映画上映を行う「日光劇場」と、社会問題を扱う映画を上映する「栃木県映画センター」を家族で運営している。「私たちは映画館の他に、文化会館や公民館といった施設で上映を行います。映画館とは違った場所で見るのも、またいいものですよ。」




“「映画で何かできないだろうか」―映画センターの設立―”守田家の事業の中でも、「栃木県映画センター」は2010年に高橋さん自身が立ち上げたものだ。仕事を始めたころ、客足が少ない平日に「映画を使って他に何かできないだろうか」と考えていた高橋さんはある一本の映画に出会う。『オーシャンズ』(ジャック・ベラン監督、仏、2009年)という海洋生物をテーマにしたドキュメンタリ映画だ。
この上映権を持っていたのが「映画センター」という組織だった。「映画センター」は、映画館以外での上映会をサポートする自主上映のネットワーク組織で、各県に存在する。しかし、当時は栃木県にはまだ存在していなかった。
「『オーシャンズ』をきっかけに、映画センターにオブザーバーとして関わるようになりました。1年ほど経ってから、他にやるところがないなら自分たちでやろう、と思って設立しました」それから、大衆向けにエンタテインメント色の強い映画を上映する「日光劇場」とは対照的に、「栃木県映画センター」では、行政や市民団体と共に、社会問題がテーマの映画を上映している。





“映画は社会とつながる、はじめの一歩” 映画センターでの上映活動は、「この問題をもっと多くの人に知ってほしい」という想いで主催団体の活動内容に関わる映画を上映することが多い。
「この前、ある方から言われたんですが、“ホップ・ステップ・ジャンプ”という言葉があるじゃないですか。映画はこの“ホップ”の部分なんです。まずは足を運びやすい映画を見てもらう。そこから興味を持ってもらって、“ステップ”である講演会なり他のイベントなりへの参加、そして最後に、直接ボランティアなどで関わって“ジャンプ”してもらう。映画は、社会とつながる初めの一歩なんです。」 映画上映をする際は、企画から相談に乗ってくれるという。どういう層に訴えたいのか、何を訴えたいのかを聞いた上で上映作品や会場の決定などを打ち合わせて、上映に臨む。


“きっかけは、就職活動の挫折”  高橋さんが生まれ育ったのは埼玉県。好奇心が旺盛な子供だった。大学では金融関係の勉強をしていたが、将来は漠然と「クリエイティブで自分の仕事の成果が見える仕事をしたい」と思っていた。
 そんな高橋さんに転機が訪れたのは、大学4年の就職活動の時のこと。「実は持病がありまして、それが悪化して就職活動を続けることが難しくなってしまったんです。テレビ局や広告代理店などを希望していたのですが、それらは不規則な仕事で、体力的にきつい。それで、どうしよう、と思っていた時に、当時付き合っていた彼女(現在の妻)から、彼女の実家の家業(映画上映)を継ぐことを提案されたんです。映画上映なんて、なかなか就ける仕事じゃない。面白そうだな、と思って、日光に行くことにしました。」


“仕事の魅力と、これから”  ひょんなきっかけで就いた仕事だが、今ではやりがいを感じる毎日だ。「“日光劇場”では、動員数、売上高、“映画センター”では主催者やお客さんからの感謝の言葉、というように、自分がやったことの成果が直接みえるんです。映画は不安定ですから、正直言って大変な仕事ですが、こんなに面白い仕事はないと思います。だから辞められませんね。これからは、映画上映の魅力をもっと知ってもらって、もっと多くの人に映画というツールを使ってほしい。それで、映画を見て社会問題に触れ、もっと主体的に行動を起こす人が増えればと思います。」 


“若者へ” 不安定で先の見えないどんよりとした世の中ですが、夢と目標を持ってがんばって下さい。やりたい事に100%合致する仕事に就くのは難しいと思いますが、自分が置かれている状況の中で夢や目標を定めることが大事だと思います。決して悲観せず、愚痴を周りに漏らさず、前を向いて仕事のできるかっこいい大人になって下さい。

取材日/平成24年11月29日

取材者/逸見栞 (ユースインターン生/宇都宮大学国際学部4年)

 

栃木県映画センター

http://tcg-center.com/index.html

栃木県日光市今市734番地

Tel 0288-22-2610   Fax 0288-22-2623

E-mail mail@tcg-center.com